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管理組合運営基礎編 第6回管理委託契約

2013年09月25日

今日は、顧問先管理組合での臨時総会に出席してまいりました。 この臨時総会後に、大規模修繕工事業者との請負契約の締結が行われます。 築後30年になろうかとする建物ですが、本格的な大規模修繕は初めてです。長期滞納者の問題、勃発する緊急工事、資金不足などで手をつけられなかった修繕です。組合にとっても顧問であるマンション管理士にとっても悲願の工事なのです。

 

毎週お届けしている「管理組合運営基礎編」は、

役員になったばかりで何もわからない、書類は送られてくるけどよくわからない、マンションを購入しようと思っているけどその運営って何?などの思いのある方に見ていただきたい内容です。 不明なことなどありましたら無料の電話相談をご利用ください。

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管理委託契約

管理委託契約

出納・会計業務も含め様々な管理業務(詳細はマンション管理の仕組みと組織を参照)を継続して実施して行く必要がある管理組合は、管理組合の業務の全部又は一部を、マンション管理業者等の第三者に委託し、又は請け負わせておこなっています。

 

 

総会決議事項

管理委託契約に関する事項は、総会の決議事項です。

 

 

マンション管理業

マンション管理業とは、マンション管理適正化法では、管理組合から委託を受けて管理事務を行う行為で業として行う者です。
管理事務とは、マンションの管理に関する事務であって、下記の基幹事務を含むものをいいます。

マンション管理適正化法に定める国土交通省に備えるマンション管理業者登録簿に登録を受けてマンション管理業を営む者をマンション管理業者といいます。

 

 

基幹事務

 

 

①会計の収入及び支出の調整

収支予算案の素案の作成
収支決算案の素案の作成
収支状況の報告

 

 

②会計の出納

  • 組合員が管理組合に納入する管理費、修繕積立金、専用使用料その他の金銭(管理費等の)の収納
  • 管理費等滞納者に対する督促
  • 通帳等の保管等
  • 管理組合の経費の支払い
  • 管理組合の会計に係る帳簿等の管理

 

③マンション(専有部分を除く。)の維持又は修繕に関する企画又は実施の調整

管理組合の長期修繕計画の見直しのため、管理事務を実施する上で把握したマンションの劣化等の状況に基づき、当該計画の修繕工事の内容、実施予定時期、工事野概算費用等に、改善の必要があると判断した場合には、書面で管理組合に報告する。

管理組合がマンションの維持又は修繕(大規模修繕を除く修繕又は保守点検等。)を外注により第三者に行わせる場合の見積書の受理、発注補助、実施の確認

 

 

管理会社との委託契約

管理会社に管理を委託する場合には、その旨について総会の承認を得て管理委託契約を締結します。

 

 

国土交通省から、マンション標準管理委託契約書が発表されています。

※マンション標準管理委託契約書は、平成21年5月にマンション管理適正化法施行規則の一部改正に合わせて改定されています。

※ほとんどの管理会社で標準管理委託契約書に準拠した契約書と思われますが、一部独自の内容となっている事項もあります。特に、長期修繕計画の見直しの業務についての扱いは管理会社によってはそれぞれの提案があるようです。

※管理組合も契約の当事者ですから、管理組合側もその内容をよく理解しておく事が大切です。
※契約ですから、標準になくても法に反しない範囲であれば管理組合と管理会社双方納得の内容での締結は可能です。

 

 

管理委託契約を締結する場合の注意点

 

 

契約履行責任

管理会社は、管理委託契約に基づいて委託された業務を履行しなければな
りません。その履行が遅れている、不完全である、履行されていない場合に
は、その改善要求等を行う事が大切です。

 

 

善管注意義務

管理委託契約は、民法656条の準委任契約の性格を有することから、マンション管理業者は、管理委託契約に定める業務を履行する上で善管注意義務を負っています。

 

 

マンション管理適正化法のマンション管理業者の義務

 

①マンション管理業者の信義誠実義務

マンション管理業者は、信義を旨とし、誠実にその業務を行わなければならない。とされています。

 

 

②重要事項説明

マンション管理業者は、管理組合との管理委託契約を締結しようとする場合には、あらかじめ国土交通省令で定める重要事項について説明会を開催して説明しなければなりません。

※新築の場合:新たに建設されたマンションの建設工事の完了から一定の期間(国土交通省令では1年)を経過するまでの間に契約期間が満了するものは、適正化法72条1項に規定する委託契約から除外されていることから、重要事項の説明がなくても管理委託契約は締結できます。

 

 

③委託契約に当たっての書面の交付(管理委託契約書のことです。)

合意された契約事項について書面で明確にしておく必要から、マンション管理業者は、管理
事務の委託を内容とする契約を締結した場合には、その基本的事項を記載した書面を管理
組合の管理者等に交付しなければなりません。

※管理者がいない場合や管理業者が管理者である場合には、区分所有者全員への交付が必要です。

 

 

④基幹事務の一括再委託の制限

一括での再委託はできませんが、事務管理業務の一部の再委託は認められています。

※例えば、出納業務を集金代行業者に再委託すること。

 

 

⑤財産の分別管理

マンション管理業者は、管理組合から委託を受けて管理する管理費及び修繕積立金については、整然と管理する方法(適正化法規則87条2項)により、自己の固有財産及び他の管理組合の財産と分別して管理しなければなりません。

 

 

整然と管理する方法

適正化法施行規則87条2項
マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則の一部を改正する省令(平成21年国土交通省令第35号)が平成21年5月1日に公布されており、平成22年5月1日(一部については公布の日)施行されています。

それまでの、原則方式、収納代行方式、支払一任代行方式による分類を廃止して、収納口座、保管口座、収納・保管口座による分類に変更されました。

※詳細については、国土交通省ホームページの改正内容説明資料をご参照下さい。
http://www.mlit.go.jp/common/000053056.pdf(国土交通省ホームページより)

 

 

⑥管理事務の報告・・・適正化法77条及び適正化法施行規則88条

マンション管理業者は、管理事務に関する報告を行うときは、管理事務を委託した管理組合の事業年度終了後、遅滞なく、当該期間における管理受託契約に係るマンションの管理状況について、

一 報告の対象となる期間
二 管理組合の会計の収入及び支出の状況、
三 前二号に掲げるもののほか、管理受託契約の内容に関する事項

を記載した管理事務報告書を作成し、これを管理者等に交付しなければなりません。

 

 

⑦毎月の会計の収支状況の報告

マンション管理業者は、毎月、管理事務の委託を受けた管理組合のその月における会計の収入及び支出の状況に関する書面を作成し、翌月末日までに、当該書面を当該管理組合の管理者等に交付しなければなりません。

 

 

⑧秘密保持義務

マンション管理業者は、正当な理由がなく、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないとされています。また、マンション管理業者でなくなった後においても、同様とされています。
マンション管理業者の使用人その他の従業者についても、同様の義務が課せられています。

 

 

管理委託契約の手順

 

 

これまでの管理会社と同一の条件で管理委託契約を更新する場合

①管理会社から区分所有者等全員に、重要事項説明書を交付

down-arrow ②管理者等に、マンション管理業者の管理業務主任者より重要事項説明

説明の際には、管理業務主任者証の提示が必要。また、重要事項説明書を作成する際には、管理業務主任者の記名押印が必要です。 down-arrow

③総会による管理委託契約の承認

down-arrow

④管理委託契約の締結、管理委託契約書の交付

これまでの管理会社と条件を変更して管理委託契約を締結する場合

①管理会社から、重要事項並びに説明会の日時及び場所を記載した書面を区分所有者及び管理者等の全員に交付

down-arrow

②管理会社による重要事項説明会

down-arrow
③総会による管理委託契約の承認

down-arrow

④管理委託契約の締結、管理委託契約書の交付

新たな管理会社との管理委託契約を締結する場合

①3か月前に書面で現行管理会社に解約の申し入れ

②新管理会社候補による重要事項説明

※新たな管理会社の選定を行うことが必要です。

③新管理会社との委託契約の締結について総会による承認を得る

④現行管理会社と新管理会社当の引継ぎに関する打ち合わせなどの調整

⑤新管理会社との委託契約の締結、新管理体制スタート

 

 

管理会社の選定

自主管理を行っている管理組合が管理を委託する場合や現在の管理会社を変更したい場合などの場合には、いったいどの管理会社に委託すれば大丈夫なのかしら?と考えるのはごく一般的なことです。
では、どうすれば、よりよい管理会社を見つけ出せるのでしょうか。ここでは、管理会社の選定の方法について説明します。

 

現行管理会社を含めて複数の管理会社から選定する場合

 

 

①総会による承認

管理委託契約の見直しについて複数の会社から選定すること。
マンション管理士等のサポートを得る場合にはその旨(予算含む)
※選定の手順等についても説明を加えて置くとよりスムーズに進むと思われます。

 

 

②理事会

  • 委託業務の仕様書の作成
  • 候補会社の選定(一次選定)
  • 見積依頼
  • 候補会社によるマンションの建物等の調査
  • 見積理及び提案の取りまとめ及び比較表作成
  • 理事会による書類選考(二次選定)
  • 全組合員を対象とした候補会社によるプレゼンテーション

 

理事会は、参加組合員へのアンケートを実施し、感想・意見等を把握する。
アンケート等も参考にし、理事会としての候補会社を決定する。 理事会で最終候補の1社を選定し総会に上程する。 理事会で2社の候補まで選定し、総会で決める。 ※最終の1社を決定する方法は色々とあります。①で先述したように、事前に決定方法を明確にしておく事をおすすめします。
※管理会社による重要事項説明会の開催

 

 

③総会による承認

管理会社(新)との管理委託契約の締結に関すること

 

 

④理事会

現行管理会社と新管理会社との業務の引継ぎ
管理委託契約の締結

※現行管理会社との契約を解約する場合には、三ヶ月前に書面での申し入れが必要です。実際に、管理会社の変更を行う場合には、新管理体制までスムーズに移行させるためには、しっかりしたスケジュールを組むことが大切です。

 

 

契約後の留意点

「管理会社に委託したから」、「変更したから」といって、すべてが上手くいくとも限りません。
管理組合と管理会社との管理委託契約に基づくものですから、管理組合も契約の当事者であることを認識することが大切です。 契約書に添った業務を行っているか、理事会等の指示に答えられているかなど日頃から管理会社の業務に関するチェックを行うことが必要です。 管理組合の中には、何でも管理会社に指示すれば良いと考えている場合がありますが、あくまでも管理委託契約に基づいています。
それを認識しつつ管理会社を上手く活用することをおすすめします.

 

 

次回は、マンション管理組合と損害保険についてです。