組合運営適正化サポート

マンションの保険

マンションの損害保険

マンションの管理においては、火災等に見舞われた場合の共用部分の復旧や、共用部分を原因箇所とする水漏れ等による損害賠償を行う場合には、その費用を管理組合の財産から支出することとなります。潤沢な財産が管理組合にあれば別ですが、将来の修繕積立金等から支出することや、その都度一時金を徴収するなどは、合意形成が困難であり現実的ではありません。

国土交通省発表の「マンション標準管理指針」では、管理組合の標準的な対応として「管理組合が、マンションの構造、築年数、区分所有者の要望等を勘案し、適切な火災保険その他の損害保険を付保している。」こととしています。

◆保険契約の内容を知っていますか? 毎年保険契約を締結していながら、どんな保険に加入しているのかについては良く知らないという管理組合があります。そのため、実際に事故等が発生しても保険申請をしなかったり、損害をカバーするのに過不足があったりします。

保険契約を行う際には、しっかり内容の確認をしましょう。

◆こんな時のために  ※補償内容、補償範囲等は保険会社によって異なります。

◆補償内容  補償内容には、損害保険金・費用保険金・賠償の3つがあります。

補償項目 具体的適用内容
補償内容 損害保険金 火災 専有部分より出火し、共用部分の外壁・廊下が焦げた。消火活動の際、隔壁版・バルコニーガラスが割れた。
落雷 落雷により、火災報知設備やエレベーターの基盤が損傷。落雷により、外壁の一部が吹き飛んだ。
破裂・爆発 ガス爆発により外壁・バルコニー等が損傷。
風・ひょう・雪災 台風に伴う強風によりものが飛んできて、エントランスのガラスが破損。大雪によりバルコニーのガラス庇が押し潰された。
騒じょう デモ行進で共用部建物が破壊された。
盗難 盗難目的により共用ドアが壊された。
飛来・落下・衝突 車の当て逃げによりマンションフェンスが倒壊。近隣の公園からボールが飛んできてエントランスガラス破損。
水濡れ 共用部の給排水設備から漏水して、1階のエントランスの天井汚損。
水災 集中豪雨により地域一帯が冠水。エレベーター機械室に浸水があり、機械が損傷。(床上浸水もしくは地盤面より45㎝を超える浸水)
破損汚損 何者かにより、1階エントランスのガラスが割られた。何者かにより、エレベーターンの操作盤が壊された。
設備損害(電気的機械的事故) エレベーター、機械式駐車場の基板が過電流により損傷。
費用保険金 ドアロック(錠前)交換費用 共用部のドアのカギが盗難された場合の鍵の交換費用。(カギの紛失は対象外)
修理付帯(災害緊急)費用 事故の復旧にあたり支出した必要かつ有益な費用。(仮修理、原因調査の費用等)
失火見舞費用 火災、破裂・爆破により他人の所有物を滅失・き損・汚損させたとき見舞金に充てていただく費用。
臨時費用 損害保険金が支払われる際、加算して支払われる費用。
地震火災費用 地震・噴火・津波を原因とする火災で建物が半焼以上となった場合。
残存物取片づけ費用 損害を受けたものの取片づけに要した費用。(焼け跡の整理にかかる費用等。)
損害防止費用 損害を防止、軽減するため、消火活動に必要又は有益な費用。
水漏れ原因調査費用 建物において、偶然な漏水、放水または溢水による水漏れ事故が発生し、事故原因の調査のために必要かつ有益な費用を○○
賠償 施設賠償責任保険特約 マンション外壁の一部が突然剥がれ落ち、駐車中の車を直撃した。共用排水管より漏水し、専有部住戸の天井・壁を汚損した。エレベーターの扉に子供が挟まれケガをした。
個人賠償責任保険特約 洗濯機ホースが外れ漏水、階下の住戸の天井を汚損した。マンション敷地内で居住者の子供がサッカーをしていてエントランスのガラスにボールが当たり破損した。

 

基礎知識

必要用語
保険の目的
何に保険を付けるかの対象とするもの火災保険 建物、家財、什器備品、設備、・・・
保険金額
いくら保険をつけるの「いくら」にあたる言葉。保険の契約金額のこと。マンション建物に1億円の火災保険をつける
保険価格
保険事故が生じることで、被保険者が損害を被る恐れのある最高評価額。現在の時価。
保険料
掛け金のこと。保険金と間違えることが多い。
料率
保険金額×料率=保険料である
保険金
事故で保険適用となり受け取れる金額
免責額
事故の際事故の認定額から差し引かれる金額(エクセスともいう)

 

管理組合の保険と補償内容

必要な基本保険

マンション管理組合向け保険として代表的なもの。

①火災保険
共用部のみを対象にした基本的な補償
②個人賠償責任保険
住人個人が法律的な賠償責任を負った時の保険マンションで多い専有部の漏水事故に対応するため、管理組合で一括してつける保険
③施設賠償責任保険
管理組合が法律的な賠償責任を負った時の保険

 

マンションで使える火災保険の種類
①掛捨て型
普通火災 住宅火災、店舗総合保険、住宅総合保険 新型火災保険(現在は主流) 東京海上日動:新マンション総合保険 三井住友海上:GKすまいの保険 損保ジャパン:マンション総合保険 あいおい損保:マンション管理組合総合保険
②積立型火災保険
新型保険の積立型 *個人賠償責任保険と施設賠償責任保険は火災保険の特約として契約できる。

 

建物の評価額と保険金額

保険金額とは

保険金額とは保険を「いくらつける?」の「いくら」にあたる金額のことです。通常火災保険は建物全体にかけるわけですが、マンション管理組合の場合はマンション共用部だけに火災保険をかけます。従って建物全体のうち共用部の保険金額を決める必要があります。万一の罹災の際に十分な補償を受けるためには正しい保険金額で契約することが肝心となります。

(1)建物全体の評価

時価ベース、再調達価格ベースの二つがありますが、マンションでは再調達価格ベースで組み立てます。①建築費の単価を決める②建物の述べ床面積を確認する(専有部、共用部の合計)

(2)共用部の割合

共用部分割合は建物により55%~60%とします。(※付保割合の60%とは別の考え方です。)マンションの規模、構造、環境等で割合が変わってきます。(60%が一般的です。)

〈ポイント〉建物の専有部分延べ床面積と共用部分延べ床面積を比べた場合、専有部分の方が広いのが一般的です。・・・にもかかわらず保険金額の共用部分割合が60%となるのは  床面積で考えるのではなく建物の建築費の割合だからです。(建物の躯体部分は基本的に共用部分です。)

(3)付保割合(下記3参照)

保険会社、保険の種類によって決められ割合に制限があります。割合設定を自由設定にしている商品もあります。最低割合も10%の~30%と商品によって様々です。※この付保割合の目的は保険料の軽減にあります。

 

共用部分と上塗り基準

共用部分の保険の範囲について

マンションは個々の専有部分と躯体・外壁・廊下・階段といった共用部分で成り立っています。建物 = 専有部分 + 共用部分共用部分には、法律上当然に共用部分となるもの(法定共用部分)と、管理規約によって定められる共用部分(規約共用部分)があります。多くの場合に、下図のように上塗り基準(躯体部分は共用部分とし内装部分のみを専有部分とする考え方)を推奨しています。※尚、上塗り基準に対し壁芯基準があります。共用部分は管理組合により「一括付保契約方式」により共用部分だけまとめて火災保険を管理組合で付保することができます。

火災保険で壁芯基準を使わない理由

仮に壁芯基準で共用部に火災保険を掛けようとした場合、隣の部屋との境は互いに壁の中心であり、中心までが互いに保険の対象範囲になる。・・・とすると共用部分であるべき壁がなくなってしまうことになります。 従って、通常上塗り基準を使っています。

 

積立型火災保険

種類

マンション共用部分では「新型火災保険」の積立タイプが主流です。

 

内容

将来の大規模修繕資金運用を目的とした、新型火災保険に積立特約を組合せた保険で,保険期間終了後に満期返戻金が支払われます。保険期間、保険料払込方法、満期返戻金などの組み合わせで将来の資金計画にあわせたプランが設定可能です。

 

資金運用面のメリット

①管理組合の資金運用で最も必要とされるのは「安全性」ですが、元本(平準積立保険料部分)は、満期まで補償されます。②運用益が予定利率を上回った場合は契約者配当金が支払われます。 ①途で資金が必要な場合キャッシングが可能です。 期間の途中で緊急の修繕費が必要になった場合には、保険を解約することなく補償はその ままで、資金の借り入れすることが可能です。

 

決算上の保険料について

積立火災など複数年契約の保険料を一括で支払う場合、決算においては保険料のうち危険負担保険料部分の当該1年分を計上しますが、翌年以降は前払い保険料となります。※積立部分は資産勘定。

 

賠償責任保険

個人賠償責任保険

・マンションで戸室の洗濯機ホースがはずれ水漏れし、階下の部屋の家具や衣服を汚損した。・自転車で買い物途中に老人にぶつかり骨折させてしまった。

上記のような日常生活の不注意が原因となる事故で、他人にケガをさせたり他人の物を壊したりしたために治療費や修理費を請求された法律上の損害賠償責任を負った場合、保険金が支払われる保険です。

マンションの管理組合用保険につける個人賠償責任保険の位置づけ

・個人賠償責任保険は本来個人で加入する保険です。しかし、マンションの住戸内に起きる事故のほとんどが、上下階における漏水事故です。このため無保険によるトラブルを避けるため、一括して管理組合で個人賠償責任保険をつけているのが一般的となっています。現在は火災保険の特約にセットできます。

・上記の保険は個人の日常生活での賠償事故を補償するものですので、店舗・事務所および区分所有者が法人であるような場合は対象外となります。法人に対しては別に「施設賠償責任」を手配する必要があります。

 

管理組合が付保する施設賠償責任保険の場合

・マンションの外壁の一部が落下して通行人にケガをさせた。共用部分の配水管から漏水し、階下の専有個室の家具、衣類を汚した。上記のような施設の所有者や管理者に責任がある事故で、他人を怪我させたり他人の物を壊したりしたために治療費や修理費をマンション管理組合が法律上の損害賠償責任を負い請求され場合に保険金が支払われます。

*エレベーター・エスカレーターについて従来の施設管理者賠償責任保険ではエレベーター等は特約がないと補償対象になりませんでした。 → この場合には、昇降機特別約款を付帯する必要がありました。しかし、新型火災保険の「施設賠償責任保険特約」では、エレベーター等の補償も自動的についています。※エレベーターの事故が発生し、仮にメーカー責任だけでなく管理組合の所有者責任に法律上の責任があるとされた場合はこの保険が対象となります。

 

保険法の改正(約100年ぶりの法改正)

2008年6月6日に「保険契約に係わるルール」を定めた新しい法律「保険法」が成立しました。保険法は、従来の「商法」における保険に関する規定を、約100年ぶりに全面的に改正したもので、2010年4月1日から施行されました。

 

改正のポイント

・保険契約者の保護が十分でないと考えられる規定を中心に見直しが行われました。

・「片面的強行規定」の明記保険法では、重要な規定の多くが「片面的強行規定」であることが法律上に明記されました。 「片面的強行規定」とは、「その規定の内容よりも保険契約者に不利な合意は無効になる」ことをいい、これにより保険契約者等の保護がより確実なものとなりました。

 

主な改正点(マンションの保険に関係するもの)
・超過保険
保険契約締結時に「超過保険(保険金額が保険価額を上回っている)」状態であったことについて、保険契約者が「善意」かつ「重大な過失がない」場合は保険契約者が超過部分を取り消す(始期日にさかのぼって保険料の返還を請求する)ことができる旨が定められました。 ※改正前 = 超過部分は無効とされ保険料の返還はない
・重複保険
同種、同危険を担保する契約が複数社ある場合の取扱い1つの建物(評価額 1000万円)に A社と1000万円の保険契約                 B社と1000万円の保険契約を締結。建物が半焼し500万円の損害が発生した。※改正前 = A社、B社それぞれに保険金請求をする必要がありました。       (この場合、保険金額が同じなので250万円づつ)※改正後 = どちらか1社に損害額全額の500万円を請求できます。       (保険金を支払った会社は他の1社に責任額分を求償する)

※いづれにしても損害額以上の保険金支払いを受けられるものではありません。

・保険金の支払時期
[新設されました]保険会社は、保険金請求手続き完了日から「支払期限(保険種別毎に約款に明記)」までに保険金を支払います。また、支払期限を経過した日から遅滞の責任を負います(遅延利息を支払う)。
・消滅時効
保険金請求権にかかる消滅時効期間について、商法の「2年」が「3年」に延長されました。

 

・保険契約者の保護が十分でないと考えられる規定を中心に見直しが行われました。

・「片面的強行規定」の明記保険法では、重要な規定の多くが「片面的強行規定」であることが法律上に明記されました。 「片面的強行規定」とは、「その規定の内容よりも保険契約者に不利な合意は無効になる」ことをいい、これにより保険契約者等の保護がより確実なものとなりました。

 

マンションの保険に関するご相談を承ります。

マンション夢設計では、管理組合の事情やご要望により、マンション管理に関連する各専門家「夢設計のプロフェショナルズ」との連携を図りながら業務を行っています。・保険契約の内容の診断・保険のお見積り・提案・各社の保険内容の比較等について ・・・・・など

 

地震保険制度

地震保険(制度)についての正しい認識が大切です。
  • ・保険契約者の保護が十分でないと考えられる規定を中心に見直しが行われました。
  • ・地震保険は住宅しか掛けられない保険です。地震災害から住宅の復興を目的に「地震保険に関する法律」が制定されています。
  •  地震保険とは、地震・噴火・津波等によって住む家を無くした人達のためにできた保険であって一般的な火災保険のように損害にあった箇所の修復費用を担保するものではありません。

 

地震保険の必要性
火災保険では地震を原因とする損害は対象外になります。 地震・噴火・津波による損害(その結果火災が発生した場合を含む)は地震保険を付保しなければ、通常の火災保険では補償の対象とならないのです。そのため、地震・噴火・津波に対応するには別に地震保険をかけることが必要になります。

 

地震保険の契約

地震保険を掛けられるのは住宅だけです。
地震保険は、被災者の生活の安定を目的とする保険であるため、対象が「住居として用いられる建物」および家財に限られます。 アパート、マンション等の居住用建物は地震保険を掛けられますが、ビル、倉庫等の建物は掛けられません。

 

地震保険は火災保険と一緒に契約することが必要です。
地震保険は単独では加入できません。必ず火災保険に付帯して契約しなければならないのです。

 

地震保険金額は火災保険金額の半分までの設定です。

地震保険金額の設定

地震保険金額 … 火災保険金主契約の30%~50%で設定例)共用部の主契約が10億円の場合 地震保険保険金額は3億~5億円で設定する。通常共用部分火災保険は管理組合の「一括契約方式」をとるので保険基本部分の50%を地震保険金額としています。ただし、1区分所有者としては建物共用持分と専有部分を合算して5,000万円が限度です。

 

地震保険はなぜ火災保険の50%しか付けられないのでしょうか。
巨大地震が発生した際、保険金の支払いに支障をきたさない範囲内とするため、火災保険の保険金額の50%としています。また、これは被災者の生活の安定に寄与することを目的とする「地震保険に関する法律」の趣旨にも合致しています。

 

付保割合付き火災保険の場合の留意事項

マンション共用部の火災保険に付保割合を付けるケースがあります。付保割合60%の火災保険に地震保険を付けると、以下のように建物全体に対する割合が思いがけず小さくなる場合があるので注意が必要です。

共用部分建物評価額 火災保険付保割合 火災保険金額(主契約) 地震保険金額(上限)(全損の保険金) (一部損の保険金)
1億円 100% 1億円 5000万円 250万円
60% 6000万円 3000万円 150万円
30% 3000万円 1500万円 75万円

 

地震保険料の割引制度は4種類あります。

契約の対象である建物または、契約対象である家財を収容する建物が、次のいずれかに該当する場合は、 地震保険料の割引をすることができます。

①耐震等級割引(1級10%、2級20%、3級30%)

建物が、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する日本住宅性能表示基準に定められた耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)または国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に定められた耐震等級を有している場合

【確認資料】・品確法に基づく「建設住宅性能評価書」(写)…新築住宅用・品確法に基づく「現況検査・評価書」(写)……既存住宅用・評価指針に基づく「耐震性能評価書」(写)……既存住宅用

②免震建築物割引(30%) (2007年10月1日新設)

対象建物が、免震建築物であることによる割引建物が、住宅の品質確保の促進等に関する法律に規定する日本住宅性能表示基準に定められた「その他(地震に対する構造躯体の倒壊等防止及び損傷防止)」において、免震建築物であると明示された建築物。

③建築年割引(10%)

建物が、昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合「建物登記簿謄本」(写)、「建物登記済権利証」(写)、「建築確認書」(写)、「検査済証」(写)などの対象建物の新築年月(昭和57年以降の場合は、新築年)が確認できる公的機関等(国・地方公共団体、地方住宅供給公社、指定確認検査機関など)により作成された書類(写)または登記事項要約書等のインターネット等で公表されている書類(写)・宅地建物取引業法の規定により宅地建物取引業者が交付する「重要事項説明書(写)」(対象建物の新築年月が確認できるもの)

④耐震診断割引(10%) (2007年10月1日新設)

対象建物が、地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、昭和56年6月1日に施行された改正建築基準法における耐震基準を満たすことによる割引

※上記の割引は重複適用はされません(いずれか1つのみ)。

 

地震保険料率は地域によって違います。(2012年4月現在)

・地域別で一番高いのは   東京都 神奈川県 静岡県・一番安いのは       岩手県 福島県 ほか15県 (一番高い地域の約3分の1)・2番目に安いのは     北海道 青森 宮城 新潟 ほか12府県

 

地震保険の保険金支払い(マンション共用部分についての基準)

損害の基準は全損、半損、一部損の三種類のみです。
損害の程度 支払い額
【全損の場合】 地震保険金額の100%(時価が限度)
・建物の全損とは、主要構造部(土台、柱、壁、屋根等)の損害の額が、時価の50%以上となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の延床面積の70%以上となった場合のことをいいます。・家財の全損とは、損害の額がその時価の80%以上となった場合のことをいいます。
【半損の場合】 地震保険金額の50%(時価の50%限度)
・建物の半損とは、主要構造部の損害の額が、その建物の時価の20%以上50%未満となった場合、または焼失もしくは流失した部分の床面積がその建物の床面積の20%以上70%未満となった場合のことをいいます。・家財の半損とは、損害の額がその時価の30%以上80%未満となった場合のことをいいます。
【一部損の場合】 地震保険金額の5%(時価の5%限度)
・建物の一部損とは、主要構造部の損害の額が、時価の3%以上20%未満となった場合、または建物が床上浸水または地盤面より45㎝をこえる浸水を被った場合をいいます。・家財の一部損とは、損害の額がその時価の10%以上30%未満となった場合のことをいいます。

 

損害認定は主要構造部が対象です。
主要構造部による損害認定主要構造部の損傷度合で全損・半損・一部損が決まります。主要構造部とは柱、壁、床、はり、屋根等をいい、構造上あまり重要でない建築物の部分は除かれます。全損  = 建物の時価の50%以上半損  = 建物の時価の20%以上50%未満一部損 = 建物の時価の3%以上20%未満

 

小損害、給排水管だけの損害は対象外です。*誤解の多い点です!
地震保険は主要構造部に被害を受けた時が対象です、共用部分である窓ガラス、扉、給配水設備、エレベータ等の機械設備、その他付属物等の被害があって高額な修理費、修復費用が掛かったとしても、地震保険の対象にはならないのです。

 

建物が1.2度(沈下を伴う傾斜)傾くと全損です。
大地震の場合、保険会社は全保険会社で共同査定体制をとり損害保険業界としての基準により損害認定を行ういます。

・沈下による損害認定全損  = 100cmを超える沈下半損  = 10cmを超え100cm以下の沈下一部損 = 5cmを超え10cm以下の沈下

・傾斜による損害認定全損  = 2.1/100(約1.2度)を超える傾斜半損  = 0.3/100(約0.2度)を超え 2.1/100(約1.2度)以下の傾斜一部損 = 0.2/100(約0.1度)を超え 0.3/100(約0.2度)以下の傾斜

コメント平成7年の阪神淡路大震災によるマンションの地震被害は大破・中破計191棟(対象区域内マンション数5261棟)、内昭和56年以降の新耐震基準による大破・中破被害は51棟である。(株)東京カンテイ資料による

 

【損害割合の例】 非木造建物(鉄筋コンクリート造)の場合

(1)単独で全損となる例 建物焼失 のべ床面積の70%以上 建物が約1.2度を超えて傾く(沈下を伴う傾斜) 建物が地表面より1mを超えて沈下

(2)単独で半損となる例建物焼失 のべ床面積の20%以上70%未満一分損の合計が半損になる場合・・・下記(4)②参照

(3)単独で一部損(損害割合3%を越える)となる場合 建物全体が0.2度を超えて傾く(沈下を伴う傾斜)建物全体が5cmを越え10cm以下地表面から沈下した

(4)その他部分的被害例(中高層壁式ラーメン構造の場合)部分損害は損傷の最も大きい階の柱、はり、耐力壁の損傷程度を基準に照らし調査し部分損害のレベルごとに集計したものが損害割合の結果となる。たとえば・・・①建物全体の傾斜0.6/100・・・損害割合5%②部分的なコンクリートのつぶれまたは鉄筋が見える程度のひび割れ(約1mm以上5mm未満)の被害を受けたその階の柱の割合が20%を越え25%以下・・・損害割合15%この場合5%+15%=20%となり20%以上なので半損となる。

 

余震による被害
72時間以内に生じた2以上の地震はこれらを1回の地震とみなします(被災地域が重複しない場合を除く)。また、地震が発生してから10日を経過した後に生じた損害は保険金が支払われません。ただし、1ヶ月以上経過してからの被害でも、火災や浸水被害の原因が地震発生から10日以内にある場合であれば、保険金の支払い対象となります。

 

地震災害は「揺れ」だけではありません!

地震の話題は揺れの大きさであることが多いのですが、地震災害は揺れによる破壊だけでなく、地震によって発生した火災により発生する「火災旋風」(*1)や「消火活動の遅れ」(*2)が想定され、通常の火災よりはるかに甚大な被害が予想されます。地震による火災被害は火災保険では対象外であることを認識することが重要です。

(*1)火災旋風とは火災により局地的に生じた上昇気流のため、火炎が渦を巻く強い風(旋風)が発生する。現象関東大震災で発生し、多くの被害や死者をだしている。阪神淡路大地震でも発生している。

(*2)消火活動について(1)阪神淡路大震災の焼失床面積について阪神大震災の焼失床面積は約64ha(甲子園球場の16倍)。平成7年度の全国焼失床面積が約257haであるから1年間の約25%が阪神大震災の際一地域で焼失している。また、中高層集合住宅の火災損傷は179棟であった。

(2)地震火災が甚大になった原因①同時多発であったため消火活動が追いつかなかった。②建物倒壊により多数の生き埋めになった人々に対し、人命救助優先の活動をおこなった。③地震直後約58%の水道管が被害を受け、被災地のある消火栓が十分機能しなかった。④建物の倒壊や道路自体の損壊による交通障害のため消防車の到着が遅れた。⑤当日の気象条件は乾燥注意報が発表され、その他の条件も燃えやすい気象条件であった。・・・・・・・・・・等々  (消防庁/損害保険協会資料等より抜粋)

 

1地震あたりの総支払限度は6兆2,000億円

総支払限度額の推移

昭和41年6月(創設時)        3000億円

昭和53年4月        1兆2000億円

平成7年10月        3兆1000億円

平成11年4月        4兆1000億円

平成20年4月        5兆5000億円

平成24年4月        6兆2000億円